週刊東洋経済

米国のトランプ前大統領による関税政策の不透明さが日本企業や株式市場に与える影響について詳しく述べています。
「TACO（Trump Always Chickens Out）」という揶揄もあるように、トランプ氏は強硬な政策を打ち出した後に後退する傾向があるものの、近年は追加関税を引き上げる動きもみられ、市場を混乱させています。

JPモルガン証券は関税シナリオに基づき日本企業の業績や株価への影響を分析し、すでに株価が回復していることから今後の上昇余地は限定的との見方を示しています。
エコノミストのエミン・ユルマズ氏は、長期的にはインフレと金融緩和を背景に、日経平均株価が2030年に7万円に達する可能性があると予測。半導体、ヘルスケア、安全保障といった長期テーマ関連株や、物価高に対応したリユース・リサイクル分野に注目しています。また、割安な中小型株にも投資チャンスがあるとし、『会社四季報』を活用した情報収集を勧めています。

一方で、政治リスクや日銀の利上げ判断、消費税減税の是非など、政策の動向によっては市場が「トリプル安」に陥る懸念も指摘されています。夏場以降の市場下落が長期的な仕込み場になる可能性もあるとの見解も示されています。

不安定な株式市場の中でも安定した収益を求める個人投資家に人気の「高配当利回り銘柄」について紹介されています。

特に過去10期にわたり「無配（配当ゼロ）・減配」がない企業の中から、今期の配当利回りが高い順にランキングされた銘柄が取り上げられています。選定された企業は今期も増益予想であり、減配リスクが低いという共通点があります。

ランキング1位は、人材紹介業を展開する「MS-Japan」。税理士や会計士などの専門職に特化しており、好調なオーストラリア事業が業績を牽引しています。配当利回りは6％超と際立っています。

2位は「小松ウオール工業」で、オフィスビルなどの間仕切り製品を手がけています。これまでの純資産配当率（DOE）3％基準を、今期から6％を目安に引き上げると発表し、株主還元強化の姿勢を示しています。

自動車部品メーカーの「テイ・エス テック」は7位に入り、米州事業の好調を背景に今期の業績は反発見通し。10期連続で増配も実施しており、安定性が評価されています。

さらに、アステラス製薬（9位）、ファルコホールディングス（10位）、サンゲツ（11位）、EIZO（17位）、ノエビアホールディングス（21位）、ストライク（32位）など、増配トレンドが続く企業も複数登場しており、今後一層の株主還元への期待も高まっています。
このような高配当・安定成長銘柄は、リスクを抑えつつ堅実な収益を狙う投資戦略の中で有力な選択肢といえるでしょう。

右肩上がりの成長企業に長期で投資し、企業価値の上昇による株主還元を享受するスタンスを取っており、投資期間は3年を基本にしながらも10年以上保有することもあります。銘柄選定では「理論株価」に注目し、PERやROA、財務レバレッジなどから資産価値と事業価値を加味して独自に算出しています。

投資対象としては、(1)株価が理論株価より割安であること、(2)理論株価が右肩上がりの成長を続けていることの2点を重視。それらは「割安成長株」として期待でき、人気テーマに左右されず客観的な価値判断が可能です。理論株価は年4回の決算ごとに更新され、過去8年間・33期分のデータで構成されたチャートを元に、企業の成長性や業績トレンドを判断します。

今年後半の注目テーマとしては、(1)トランプ元大統領の関税政策による外需企業への影響、(2)米国の利下げ、日本の利上げによる円高方向への動き、(3)大企業のリストラによる景気不安、(4)参議院選挙での消費税減税の行方などが挙げられています。これらを踏まえ、内需株が特に注目されています。

実際の注目銘柄としては、外需への影響が少ない内需系企業の中から、理論株価が右肩上がりで高配当という条件を満たす人材派遣、情報通信（SI）、設備工事、小売業などが紹介されています。長期的に成長が見込まれ、かつ割安感のあるこれらの企業は、経済環境の変化にも比較的強く、今後の投資先として有望とされています。銘柄選定後は『会社四季報』などで中期経営計画や成長戦略を確認し、投資判断を行うことが推奨されています。

週刊東洋経済
発売日：2025年6月9日（月）
出版社：東洋経済新報社
価格：920円（税込）

　
※AI(人工知能)を使用し文章を要約し、掲載しています。